December 03, 2010

中国進出にあたって注意したいこと(日系量販店に見る中国人気質)

今日の日経新聞に、「本部機能・人員アジアに」との記事が載っていました。何でも、アジアの新興国に駐在する駐在員も増加させる方向だとか・・・つい2年ほど前までは、九州においては中国への進出サポート業務は逆風でした。ここ1年くらいで、風向きが全く変わってきたと感じています。また、新興国へ進出している企業にとっては、つい最近まで、経営の現地化、現地の人をどうやって幹部社員に養成していくか、が一番大きな課題であったように感じます。現地幹部社員の養成という方向性には変化ありませんが、今回の日経新聞の記事は、現地に進出している企業が、均衡路線をベースとした経営戦略から、業容拡大を前提とした経営戦略へ移行している流れを表しているのではないでしょうか。

そんな中で、本日ご紹介する事例は、日系の衣料品販売店でのお話です。この会社は、安価な商品ラインナップでSPAの業態を世に知らしめた程の企業で、中国においても業績が好調といわれています。まず、売り場の写真を4枚ほどご覧ください。


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いかがですか?この写真は、写真撮影のためにわざと服をぐちゃぐちゃにしたのではなく、実際の売り場で、この状態で1時間ほど放置されているのを確認して撮影したものです。

撮影している時に、店長が「何をしているのですか?」と聞いてきたのですが、「どうして、こういった状態で放置されているのでしょうか?」と逆に質問したところ、何が悪いのか、良く分かっていない様子でした。売り場に陳列している商品は、きちんと折りたたんで置いてあるのが正常な状態ですよね。こういった汚い状態になっているのは、お買い上げいただくお客様に失礼ではないでしょうか?と確認したところようやく分かってくれたみたいで、頷いてくれました。ただ、それから行動に移る様子が見られなかったので、トレーナーは指導していないのですか?とさらに質問すると、それからワイヤレスマイクの店内放送でトレーナーを呼び、服務員へ陳列状態を直すように初めて指示をしていました。店長には、写真の4箇所がまずい状態だねと伝えたのですが、服務員が直したのは2箇所のみ。後は、売り場をブラブラと歩いている状態です・・・

店員さんにとっては単なるイヤなオヤジとなった訳ですが、中国ではこの類の話はとても多いです。工場でも、整理・整頓・清潔・清掃・躾を定着させるのに大変苦労します。ある中国の大学教授の話によると、「中国人は変化を好み、臨機応変に対応することが好き」ということらしいので、単純な作業の繰り返しは飽きるのでしょうね。いずれにしろ、中国進出を考える企業は、この売り場の状態が普通の状態なんだ、と覚悟をして進出する必要があると思います。そこからどうやって改善していくか、が大事ですが・・・


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December 01, 2010

中国進出にあたって注意したいこと(メイドインチャイナの実力)

早いもので、今年もあと1か月を残すのみとなりました。当事務所は、本日が創業記念日で、平成16年の開業以来、満6年が経過いたしました。おかげさまで、業務の方も順調に増え、一時的にマンパワーが不足する状況も起こっています。日本経済が長期停滞している中、非常にありがたい事だと思っております。当事務所のクライアントの皆様、周りで支えてくださっている方々に改めて御礼申し上げます。

さて、前回より「中国進出とその実態」をテーマに取り上げて、いくつかの事例を紹介したいとお話しておりましたが、今回は私の経験談を中心にお話したいと思います。

ケース1 携帯電話を買う
 中国国内で活動していると、どうしても携帯電話での通話も多くなります。こんな時は、日本で使っている携帯をローミングで使うより、現地でSIMカードを購入して使った方が安くなります。私も中国移動のプリペイドカードを使っているのですが、この場合、問題なのは「携帯端末をどうするか」です。ご承知の通り、日本の携帯電話は、殆どがキャリアを限定しており、所謂、SIMロックというのがかかっています。ですので、海外でSIMカードを買っても、日本の携帯端末では使えません。日本の端末をそのまま使うとなると、あらかじめSIMフリーの携帯を買うか手持ちの携帯端末のSIMロックを解除するしかないのですが、私の場合は、海外にいる時も日本からかかってくる事が多いので、現地用の携帯を1台購入することにしました。
 そこで出かけていったのが、上海駅のそばにある不夜城商城。ビルの名前が不夜城というのですが、営業は午後6時までです。ビルの中に、1、2個のショーケースだけの小さなブースが沢山あり、ビル全体が携帯電話関係のショップで埋め尽くされています。日本人が買いに行くと、高く買わされるので、知り合いの中国人にお願いして、値段交渉をしてもらうことに・・・
 話せれば良いので特別な機能は必要ないこと、小さくてかさばらないことの2点を重視して、NOKIAの携帯を350元で購入したのですが。購入した夕方には電源が入らなくなりました。
 購入時に、電源が入ることを確認、通話できることも確認して購入したのですが・・・

ケース2 服を買う
 上海には、地下鉄2号線、南京東路から徒歩20分位の所に、七浦路という服飾関係の激安市場があります。そこで長袖のシャツを3枚購入したのですが、1枚は1回洗濯しただけで、袖口の縫込みがほつれ、ビロビロに・・・

ケース3 バス旅行に行く
 ある日、当社の現地スタッフが友達と蘇州にバス旅行に行くと話していました。値段が非常に安かったので、「どれ位の品質なんだろう?」と興味を持ち、彼らとは別の日に一人で潜入することに・・・蘇州の観光地5箇所と絹製品を作っているところで買い物をして上海に帰ってくる行程で、1人169元。午前中は、名所旧跡を順調に見て周り、昼は自分で食べなければならなかったので、とりあえず目に付いた割ときれい目の食堂で食ったのですが・・・思い出したくないので、味の感想は控えさせてください。
 午後2時くらいに、絹製品の展示場兼販売施設みたいなところに連れて行ってくれて、色々見学した後バスに戻ると・・・後ろのボンネットを開けて、少し変な雰囲気、バスの中では運転手が携帯電話で話していて、「ダメだ、動かない。上海から新しいバスをよこしてくれ」みたいな事を話している。この件は、添乗員さんの機転で、次の観光地まで徒歩で行き、帰ってきて5分くらいで新しいバスが上海から来たので、「没問題」だったのですが、手際が非常に良かったことから判断すると、割と頻繁に起こっているのではないでしょうか。ちなみに、故障したバスは、HIGERというメーカーのものでした。
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近づいてみてみると、こんな感じです。
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ちなみにこのバスの製造元のHIGER社のホームページはこちら
http://www.higer.com/web/

 他にも、中国に行くと色々なトラブルが頻発します。物もサービスも人が作り出すものと考えると、仕事に携わる人の意識が非常に大切なのですが、それだけでは足りない気がします。トラブルが起こった時、現地の人はどう対応しているのか観察したのですが、ケース3の場合は、添乗員さんが、「バスが動かなくなった」と伝えた時、その時だけ少し騒がしくなったのですが、それ以外は至って普通、帰る時間が少し遅くなりましたが、「没問題」という言葉に嘘はなかったわけです。
 また、中国で食事をすると、メニューに書いてあるものが「没有」、「没有」、「没有」とことごとく無い場合があります。時々、オーダーを端末に入力した後「没有」に言ってくる場合があるのですが、この場合、現地の人が取る行動は、会計の前に無いと言っていたオーダーがきちんと消されているか確認をしています。また、かなりの確率で、持って来なかったものが消されていません。私の経験では、こちらから言わないと100%消されていませんでした。
 こういった事から考えると、仕事の熟練度やパーソナリティ的なものもあるのでしょうが、私たち日本人には分かりにくいが、現地の人には分かる傾向というものがある様に感じます。中国ビジネスを成功させる上で、優秀な中国人管理者の存在は必要条件だ、と言われる所以はこのあたりにあるのだと考えます。

 次回は、日系量販店の売場から推測できる中国人気質について検討してみたいと思います。



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