April 29, 2011

中国の春節、タイのソンクラーン

日本は今日からゴールデンウィーク入りしましたが、私は5/1〜5/7まで上海へ出張の予定です。中国は労働節で4/30〜5/2がお休みなので、実質稼動は5/3からになりますが・・・帰国後は、5/7の15:30頃に福岡事務所に入り、翌週の打ち合わせをして帰宅する予定です。

さて、タイではソンクラーン(タイ正月)も終わり、在タイ日系企業の生産も通常稼動に戻っているかと思います。最近では、アジア各国からタイへ生産を集約する動きもあり、タイで生産を行っている日系企業では高水準な稼働率の継続が今後も見込めることから、更なる投資を行うところも増えています。

生産規模を増強するということは、ワーカーの確保も大きな課題になりますが、タイでも中国と同様に、ワーカーの確保が困難な状況が出てきているようです。

タイも中国も感情型の人が多いので、仕事はベキ論ではなく、好き嫌い・楽しい楽しくないという視点で継続するかどうかを決める傾向があります。(中国では、お金も大きな要素です。)ソンクラーンはタイの正月、春節は中国の正月で、この時期は、両国ともに多くのワーカーが帰省します。両国とも、出身地に対する愛着が強いため、久しぶりに家族親戚と会うと正月明けにそれまで働いていた所に戻りたくないと言う感情も出てくるようです。

新興国の経済発展に伴い、一次産品の価格が上がり、彼らが帰省する田舎では農家の収入も増加しています。中国では、内陸部の開発に伴い沿岸部でなくとも職が見つかるようになり、春節明けはワーカー達が戻ってこないといった状況が見られました。農業国のタイでも天然ゴムやパーム油をはじめとして、多くの農産物が値上がりしています。戻って工場で働くより、しばらくは田舎でのんびり農業でも手伝うか、と言うことになり、工場集積地では労働力不足に悩むことになります。

タイの工場稼働率が高水準で推移することはしばらく継続する事が見込まれますが、ベースにあるのは新興国の経済成長です。この事は同時に一次産品価格の上昇をもたらしているため、ワーカー達にとって「実家の近くで農業の手伝いをして日銭を稼ぐ」という選択肢が存在することになり、工場でのワーカー不足は加速していく可能性もあります。

モチベーション管理を中心とした人事管理・労務管理がより重要になります。

March 27, 2011

海外現地法人社員の日本での職場研修の実態

中々ブログの更新が出来ずに反省しています。継続的にひとつの事を続けるのは難しいものですね。

昨日、当事務所のパートナー企業の社長(タイ人)とランチミーティングを行いました。その際、彼が興味深い話をしておりましたので紹介します。現在、とある在タイ日系企業の工場から日本の関連会社工場へ3週間程度の予定で研修生が来ており、OJTを主体とした実務研修が行われているそうです。彼は、通訳として現地に常駐しているのですが、研修生たちの不満が沢山出ているとの事です。

製造業では、コストダウンを実現するため生産現場を海外に移転する会社も増えています。そこでは、5Sを初めとした生産現場の管理手法が中々定着せず、対応に苦慮している企業も多いものです。海外現地法人の従業員に日本への研修旅行を実施するというのは、日本国内の5Sが定着している現場を経験してもらうことで、本当の5Sを理解し現地法人の生産現場へ広めてもらうためのリーダーとなって欲しいとの思いもあるものです。

では、その企業では当の研修を受けている現地社員たちの反応はどうだったかと言うと・・・
「タイでは散々5Sの事を言われていました。私たちはこの事については良く理解しています。なぜ今更5Sをやらなければいけないのでしょうか?」
「私たちは選ばれて日本に来ました。最先端の技術・技能を学べると期待していたのに、5Sを中心とした研修なんて・・・がっかりです。」

といった意見が多かったようです。新しいことにチャレンジしたい前向きな気持ちの裏返しだと思いますが、ワークプレイスラーニングという視点から見ると、あまり望ましくない状況のようです。こういった事は、タイだけでなく中国でも頻繁に起こっています。学んでもらうことの組み立てと参加者への意識付けが十分ではなかったのでしょうが・・・また、この様な不満が海外法人社員から出てきたときに、すぐに指導できる能力を持った通訳をあてるか、日本法人の管理者へ迅速な報告をあげさせることが必要になります。対応はすばやく行うことが必要になりますが、通訳が不満などを報告しないケースも多いようです。

December 03, 2010

中国進出にあたって注意したいこと(日系量販店に見る中国人気質)

今日の日経新聞に、「本部機能・人員アジアに」との記事が載っていました。何でも、アジアの新興国に駐在する駐在員も増加させる方向だとか・・・つい2年ほど前までは、九州においては中国への進出サポート業務は逆風でした。ここ1年くらいで、風向きが全く変わってきたと感じています。また、新興国へ進出している企業にとっては、つい最近まで、経営の現地化、現地の人をどうやって幹部社員に養成していくか、が一番大きな課題であったように感じます。現地幹部社員の養成という方向性には変化ありませんが、今回の日経新聞の記事は、現地に進出している企業が、均衡路線をベースとした経営戦略から、業容拡大を前提とした経営戦略へ移行している流れを表しているのではないでしょうか。

そんな中で、本日ご紹介する事例は、日系の衣料品販売店でのお話です。この会社は、安価な商品ラインナップでSPAの業態を世に知らしめた程の企業で、中国においても業績が好調といわれています。まず、売り場の写真を4枚ほどご覧ください。


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いかがですか?この写真は、写真撮影のためにわざと服をぐちゃぐちゃにしたのではなく、実際の売り場で、この状態で1時間ほど放置されているのを確認して撮影したものです。

撮影している時に、店長が「何をしているのですか?」と聞いてきたのですが、「どうして、こういった状態で放置されているのでしょうか?」と逆に質問したところ、何が悪いのか、良く分かっていない様子でした。売り場に陳列している商品は、きちんと折りたたんで置いてあるのが正常な状態ですよね。こういった汚い状態になっているのは、お買い上げいただくお客様に失礼ではないでしょうか?と確認したところようやく分かってくれたみたいで、頷いてくれました。ただ、それから行動に移る様子が見られなかったので、トレーナーは指導していないのですか?とさらに質問すると、それからワイヤレスマイクの店内放送でトレーナーを呼び、服務員へ陳列状態を直すように初めて指示をしていました。店長には、写真の4箇所がまずい状態だねと伝えたのですが、服務員が直したのは2箇所のみ。後は、売り場をブラブラと歩いている状態です・・・

店員さんにとっては単なるイヤなオヤジとなった訳ですが、中国ではこの類の話はとても多いです。工場でも、整理・整頓・清潔・清掃・躾を定着させるのに大変苦労します。ある中国の大学教授の話によると、「中国人は変化を好み、臨機応変に対応することが好き」ということらしいので、単純な作業の繰り返しは飽きるのでしょうね。いずれにしろ、中国進出を考える企業は、この売り場の状態が普通の状態なんだ、と覚悟をして進出する必要があると思います。そこからどうやって改善していくか、が大事ですが・・・


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December 01, 2010

中国進出にあたって注意したいこと(メイドインチャイナの実力)

早いもので、今年もあと1か月を残すのみとなりました。当事務所は、本日が創業記念日で、平成16年の開業以来、満6年が経過いたしました。おかげさまで、業務の方も順調に増え、一時的にマンパワーが不足する状況も起こっています。日本経済が長期停滞している中、非常にありがたい事だと思っております。当事務所のクライアントの皆様、周りで支えてくださっている方々に改めて御礼申し上げます。

さて、前回より「中国進出とその実態」をテーマに取り上げて、いくつかの事例を紹介したいとお話しておりましたが、今回は私の経験談を中心にお話したいと思います。

ケース1 携帯電話を買う
 中国国内で活動していると、どうしても携帯電話での通話も多くなります。こんな時は、日本で使っている携帯をローミングで使うより、現地でSIMカードを購入して使った方が安くなります。私も中国移動のプリペイドカードを使っているのですが、この場合、問題なのは「携帯端末をどうするか」です。ご承知の通り、日本の携帯電話は、殆どがキャリアを限定しており、所謂、SIMロックというのがかかっています。ですので、海外でSIMカードを買っても、日本の携帯端末では使えません。日本の端末をそのまま使うとなると、あらかじめSIMフリーの携帯を買うか手持ちの携帯端末のSIMロックを解除するしかないのですが、私の場合は、海外にいる時も日本からかかってくる事が多いので、現地用の携帯を1台購入することにしました。
 そこで出かけていったのが、上海駅のそばにある不夜城商城。ビルの名前が不夜城というのですが、営業は午後6時までです。ビルの中に、1、2個のショーケースだけの小さなブースが沢山あり、ビル全体が携帯電話関係のショップで埋め尽くされています。日本人が買いに行くと、高く買わされるので、知り合いの中国人にお願いして、値段交渉をしてもらうことに・・・
 話せれば良いので特別な機能は必要ないこと、小さくてかさばらないことの2点を重視して、NOKIAの携帯を350元で購入したのですが。購入した夕方には電源が入らなくなりました。
 購入時に、電源が入ることを確認、通話できることも確認して購入したのですが・・・

ケース2 服を買う
 上海には、地下鉄2号線、南京東路から徒歩20分位の所に、七浦路という服飾関係の激安市場があります。そこで長袖のシャツを3枚購入したのですが、1枚は1回洗濯しただけで、袖口の縫込みがほつれ、ビロビロに・・・

ケース3 バス旅行に行く
 ある日、当社の現地スタッフが友達と蘇州にバス旅行に行くと話していました。値段が非常に安かったので、「どれ位の品質なんだろう?」と興味を持ち、彼らとは別の日に一人で潜入することに・・・蘇州の観光地5箇所と絹製品を作っているところで買い物をして上海に帰ってくる行程で、1人169元。午前中は、名所旧跡を順調に見て周り、昼は自分で食べなければならなかったので、とりあえず目に付いた割ときれい目の食堂で食ったのですが・・・思い出したくないので、味の感想は控えさせてください。
 午後2時くらいに、絹製品の展示場兼販売施設みたいなところに連れて行ってくれて、色々見学した後バスに戻ると・・・後ろのボンネットを開けて、少し変な雰囲気、バスの中では運転手が携帯電話で話していて、「ダメだ、動かない。上海から新しいバスをよこしてくれ」みたいな事を話している。この件は、添乗員さんの機転で、次の観光地まで徒歩で行き、帰ってきて5分くらいで新しいバスが上海から来たので、「没問題」だったのですが、手際が非常に良かったことから判断すると、割と頻繁に起こっているのではないでしょうか。ちなみに、故障したバスは、HIGERというメーカーのものでした。
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近づいてみてみると、こんな感じです。
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ちなみにこのバスの製造元のHIGER社のホームページはこちら
http://www.higer.com/web/

 他にも、中国に行くと色々なトラブルが頻発します。物もサービスも人が作り出すものと考えると、仕事に携わる人の意識が非常に大切なのですが、それだけでは足りない気がします。トラブルが起こった時、現地の人はどう対応しているのか観察したのですが、ケース3の場合は、添乗員さんが、「バスが動かなくなった」と伝えた時、その時だけ少し騒がしくなったのですが、それ以外は至って普通、帰る時間が少し遅くなりましたが、「没問題」という言葉に嘘はなかったわけです。
 また、中国で食事をすると、メニューに書いてあるものが「没有」、「没有」、「没有」とことごとく無い場合があります。時々、オーダーを端末に入力した後「没有」に言ってくる場合があるのですが、この場合、現地の人が取る行動は、会計の前に無いと言っていたオーダーがきちんと消されているか確認をしています。また、かなりの確率で、持って来なかったものが消されていません。私の経験では、こちらから言わないと100%消されていませんでした。
 こういった事から考えると、仕事の熟練度やパーソナリティ的なものもあるのでしょうが、私たち日本人には分かりにくいが、現地の人には分かる傾向というものがある様に感じます。中国ビジネスを成功させる上で、優秀な中国人管理者の存在は必要条件だ、と言われる所以はこのあたりにあるのだと考えます。

 次回は、日系量販店の売場から推測できる中国人気質について検討してみたいと思います。



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November 11, 2010

中国進出にあたって注意したいこと(はじめに)

本日、平成22年11月11日付けの日経新聞朝刊に、「中小菓子30社共同で中国進出、販社・工場リスク分散狙う」、「中小の海外進出加速、大手頼み脱却目立つ」という記事が掲載されていました。国内市場の縮小を受けて、中小企業の海外進出が活発になってきている表れだと思います。ただ、海外からの撤退率は大企業が2.4%なのに対して、中小企業は3.6%と高くなっているのが現状です。

当事務所の方でも海外進出をする際の情報提供を行う必要性を痛感しています。進出時の調査不足・認識の甘さに起因する撤退は非常に残念なことですし、そういった失敗は極力抑えてもらいたいので、本日よりしばらくの間、「中国進出とその実態」をテーマに取り上げてみたいと思います。

尚、当事務所のクライアントの事例を出すわけにはいけませんので、このテーマで出てくる会社は当事務所と全く関係がなく、今まで営業をかけたこともない会社である事をお断りしておきます。中国で活動する中で感じた事、彼ら(中国人)の一般的な考え方などを合わせて書いていきたいと思います。